• 理念と経営 2017年 1月号 P22

お客様の喜びをつくれ!

顧客満足推進フォーラム コーディネーター
松原 誠


夢もない経営者に社員さんはついていきますか

手ガス会社指定工店のキューハイテック株式会社(福岡市)は、ガスの配管を中心に、給排水衛生設備の設計・施工を営む会社です。今でこそ、無借金経営で見事な業績をあげていますが、日高美治社長が入社した頃は苦難の日々でした。
 大手製薬会社に勤めていた日高社長は、30歳のとき、父である先代社長に呼び戻されます。しかし、いざ入社してみると、財務内容は最悪でした。しかも、自分に経営ノウハウがないうえに、入社半年で先代社長が交通事政で他界。残されたのは、多額の借金でした。

れから10年ある経営者の勉強会と出会います。「将来の夢やビジョンもない経営者に社員さんはついてきていますか?」の問いかけにハッと目が覚めます。そして、社長は自ら学び、同時に、人材育成に注力し始めます。
 職人気質の社員さんはぶっきらぼうで、仕事は”やらされ感”いっぱい。これではお客様から信頼を得ることはできません。お客様の満足度や商品の品質は、当然のことながら、スタッフの表情や態度、振る舞いに影響されます。すなわち、社員さんの考え方や価値観も大切な商品なのです。
 日高社長は「『お客擦の喜びがわが社の喜びです』という思いを胸に豊かな暮らしづくりに貢献します」という経営理念を打ち出し、全社員への浸透を行ないます。しかし、長年にわたる習慣や考え方を変えるのは容易ではありません。

高社長は当時を「許せなかった」と振り返ります。ガスを扱うため、絶対に工事ミスは許されません。そのため、すべてにおいて100㌫の完璧さを求めようとしていました。
 しかし、「社員の仕事は責任を果たすことです。責任を果たすとは、失敗をしないことでは無く、仕事の質を向上し続けることです。社長の仕事は責任をとることです。人だからミスはあります。そのときは社長が責任をとればいい。そう思えるようになったとき、人を許せるようになった」と言います。

きな転機が訪れます。弊誌を活用した社内勉強会をスタートし、思い切って売り上げの大半を占める大手ガス会社の部長をゲストに招いたのです。その結果、「うちの業者さんでこんなに一生懸命勉強してくれているところがあるとは知らなかった!」といたく感激されました。そして、何よりも日頃お客様から直接、褒めてもらえる機会が少ない職人さんや社員さんにとって、それはこの上なく嬉しい体験でした。今では、「うちの社員を教育してほしい」と、何社からも要請が来ます。

た、「外部環境の変化に対応できる実力を身につけよう!」と、毎月事務所の席替えをし、女性のパートさんが「急用があるときは、気兼ねなく自由に休める」環境を実現するために、定期的にジョブローテーションを行ない、お互いがサポートし合える体制を整えています。
 全スタッフが「福岡の街になくてはならない会社になろう!」という経営ビジョンを共有し、商品の価値と”お客様のために”という売り手の価値観が一つのパッケージになったときに、初めて「この人に工事をやってもらいたい」とお客様の心が動くのです。